中国語の勉強方法(1)日本人にとって有利な言語

日本人が中国語を習得しやすい理由

令和元年度の全国通訳案内士(中国語)試験に合格しました。

十数年前に大学の第二言語で履修していた他はほぼ独学で、卒業以来使う機会はなく、2015年に台湾に通い始めた頃はほとんど喋れませんでした。通っているうちになんとなく喋れるようになり、中国語通訳案内士の資格までとるに至りました。

・・・と、ドヤ顔で言ってますが、実は日本人にとって中国語はとても有利な言語なので、漢字が読める人ならけっこう短期間で習得できるものです。これほど馴染みやすい言語はあまりないのではないでしょうか(3言語目を選ぶとしたらインドネシア語、韓国語あたりはいけそうかも?と思うのですが・・・。)

というのも、日本人は漢字がよめるので、半分できるも同然だからです。文字の勉強から始めないと行けない外国人に比べるとスタートが雲泥の差。日本人は優勝候補のシード選手なんです。(HSK6は中国政府認定の中国語検定で一番上のグレードですが、実は日本人というだけであまりしゃべれなくてもけっこうとれます。)

では、どこまでわかるのか、確認してみましょう。
この記事は、NHKワールド中国語版からの抜粋です。

北野天满宫位于京都市上京区,供奉着酷爱梅树的日本学问之神菅原道真。这里种植了大约1500棵梅树,结出的梅子被用来制作该神社的特制梅干“大福梅”。按照日本的习俗,人们喜欢在元旦这一天将大福梅浸泡在热水或茶水中饮用,祈祷新的一年健康平安。

なんとなく、なんの話かわかりません?

京都の上京区にある北野天満宮は、梅が好きだった菅原道真を祀っていて、1500の梅の樹があって、神社で梅干し「大福梅」をつくっている。日本の習慣によると元旦に大福梅をお湯かお茶に入れて飲んで一年の健康と平和を祈る、的な事が書いてあります。

じゃあ、英語に訳してみてください。どうですか?けっこう上級ですよね。

まったく中国語しゃべれなくても、新聞が読めるんです。こんな言語他にありませんよね。

外国語を学ぶ時の4要素

Input                  Output
リーディング → ライティング
リスニング → スピーキング

このうち、すでにリーディングは日本人ならできてしまいます。
HSKを受験すると、リーディングだけはいきなり受けても一番上のグレードの試験パスできるかも?

ライティングも、高校の時に漢文の書き下しをやっているので、コツを掴めばなんとなくできてしまいます。

残るは、リスニングとスピーキング。これはなかなか難しい。
日本人にとって中国語の勉強方法で力をいれるべきはこの2つなんです。

中国語には音階がある

まず、難しいのが発音。
中国語には四声とよばれる音程があります。
音程が聞き分けられない人には辛いかも?上がってるか、下がってるかの違いがわかるだけで大丈夫なのですが、どうしても違いがわからないという人が大学の時にいてました。そういう人は声調に慣れるのにかなりの時間がかかりそう。ドレミの歌が歌える人は問題ないはず。

広東語になるとさらに6声に増えて、音程が高いか低いか中くらいかが足されるので聞き分けるのがさらに大変です。香港人は歌が上手い人が多いのでしょうね。それにくらべれば4つならなんとかなる気がしますよね。

短く話す!とにかくシンプルな中国語フレーズ ~スタバ注文編 ...

この段階での勉強は、youtubeにもたくさん動画があがっているし、何か一つ音声付きテキストを買って練習すればすぐ慣れます。

次に、母音と子音の組み合わせが日本語の50音の比較にならないほど多くて、母音(6つ)+複母音(22こ)だけで、28通りあります。さらに4声をたすと100個ほど。これに子音がはいってきますから、音声表はずらーっと折りたたみ式になっていて、テキストの最後についてます。中国語の「あいうえお〜」を言い終わるにはかなりの時間がかかってしまいます。

大学の授業で思ったのですが、これ、音声表(日本の50音表にあたるもの)を一つ一つ発音していくだけで、1学期終わってしまうんです。
当然、しゃべれるようにはならないので、モチベーションあがらないまま、大学での授業終了〜。というやつです。というわけで、あまりしゃれべないまま十数年前に卒業しました。そして十年たてばかなり忘れます。(この時に叩き込まれた声調の基礎は実際には役に立っていますが。)

モチベーション維持のためにも、発音はさらっとやって、意思疎通のための単語に入っていくのがいいと思います。CDを聞いて真似ていれば、最終的には発音はできるようになりますから。

中国語習得のステップ

声調がわかったとして、次のステップとしては3つを取り組みました。

「キクタン」を流しっぱなしにして、ひたすら単語をインプット。
②中国ドラマを見る。→セリフを真似する。
③しゃべる。ひたすら実践。→実践がモチベーション維持になる。

①単語を覚えるときは発音とセットで

さて、四声を覚えてからやることは、漢字に対応してそれぞれの発音を覚えること。

たとえば、私は 「我」と書いて、 wǒ ウォ〜 と発音します。
椅子 yǐzi イーズ
などなど。身の回りのものから覚えていくのがいいかも。

あと必須なのが、数字の数え方。漢字は同じだけど、読み方が違います。漢字とセットで読み方を覚えていきます。
一 yī イー  
二 èr アー 
三 sān サン 
四 sì スー 
五 wǔ ウー 
六 liù リウ

単語暗記ひとつとっても、六とかいてあれば、6のことだな、と日本人ならわかりますよね。あとは、リウ(さがりながら発音)と読むんだな、と発音と結びつけるだけです。

もっと言うと、
因果応報 yīn guǒ bào yìng
温故知新 wēn gù zhī xīn

意味わかりますよね?
漢字圏以外の外国人だと、訳すのも苦労するはずです。
日本人ならすでに意味がわかっているので、あとは発音を覚えるだけ。

ポイントは声調で覚えること。カタカナでルビをふってはいけません。

キクタン基礎編あたりがおわったら、けっこう単語が聞き取れるようになってるはず。
単語が聞き取れても会話にはならないのですが、単語がわからなければ会話になりません。単語のインプットと、セリフのインプットは並行して進めていく必要があると思います。

という私は、実際にはあまりこれやってなくて、いきなりドラマから入りました。HSK6の受験前に使い始め(単語の問題も多く出題されるのでいちおう暗記っぽいこともしようと思いました)、上級編のキクタン流しっぱなしにしてみて、聞き流すだけで覚えられるので、なかなか良いなと思いました。英語でも聞き流すだけのスピードラーニング的なものがはやりましたが、現地語+日本語を交互に聞くことで、自然とインプットされる方式です。流しておくだけでいいので、勉強嫌いの人にもよいかも。

②「シャドーイング」セリフを真似する

中国ドラマ、またはドキュメンタリーについてですが、中国には方言がたくさんあるので、中国語で字幕がつけられている事が多いです。これがとても便利なんです。

字幕が日本語だと、日本語を読んでしまうので、中国語でなんと言ってるのか聞き取れないままになります。中国語の字幕がついているドラマ、ドキュメンタリーだと、中国語でセリフをインプットすることができます。

しかし、どうしても日本人は漢字が読めるので、字幕を読んでしまい、リスニングの勉強にならない(リスニングではなく、リーディングの訓練になってしまう)ので、2度目は字幕のスイッチをオフにして音に集中します。そこで、シャドーイングとよばれる勉強法ですが、セリフを真似て同じ速度で自分もしゃべります。気に入ったフレーズがあれば、暗記しましょう。(私は宮中ドラマばかり見ていたので、今は使われてない古い言葉がインプットされ、たまに実際の会話の中で冗談ぽく使ってみたりしてます。)

ポイントはシャドーイングにあります。聞き流すだけでしゃべれるようになるのなら、世の中の韓ドラみてるおばさまたちはみんな韓国語が話せることになります。うちの母は四六時中韓ドラ見てますがいっこうに話せるようになりません笑。真似して喋ることが大事なんです。子供の頃、日本語を覚えたとき、誰もが自然とやってきたことなんです。


オススメの動画
舌尖上的中国
TED Taipei

TEDは字幕がついてて、ジョークも覚えられてなかなかいいです。

あれ、ぜんぜんわからんけど・・・
と思っても、一度書き起こして、意味を理解したあとで、何度かリピートしてシャドーイングやってると、聞き取れるようになるんですよね。しかも、そのフレーズを自分のものにする事ができるんです。
好きな動画みてるだけで上達するので、騙されたと思ってやってみてください。

③しゃべる

わたしが台湾に遊びに行く機会は1回あたり、1週間〜10日くらいです。
初日は忘れてるのであまり喋れませんが、2日目あたりから耳が慣れてきて、帰る日くらいにはなんとなく上達してる感があります。毎回そんな感じ。

たとえば、タクシー運転手に無駄に話しかけます。
日本統治時代の建築について教えてくれたり、その土地の美味しい食べ物について話したり。その中でも、「ああ、こう言ういいまわしするんだな」と知らなかった単語やフレーズに気づけば、その都度吸収し、次に自分の言葉として話す事ができるようになります。
こんな感じで、無駄に話しかける事でその分だけ吸収していきます。
とくに、台湾では茶農家を訪問する事が多いので、製茶用語だけはやたら詳しくなっていきます笑。(当然、知らない単語は聞き取れないので、はじめはさっぱりなんの話かわかりませんでした。)

通訳案内士の口述試験前の1ヶ月間は、Netchai(オンラインレッスン)でネイティブ講師と毎日フリートークをしてました。これは、料金もすごく安くて、マンツーマンなので、日本にいながら留学環境ができるのでなかなかいいです(毎日100分話して3万くらいです。留学よりもむしろ安くてお得かも)。

台湾行くならやっぱりしゃべれた方がぜったい楽しいです。0からでも1年あればけっこう上達するので、ぜひステイホーム中に試してみてください。

日本人というだけで漢字が読めて書けるので、通訳案内士もHSKもそこそこ取れてしまったものの、リスニングもスピーキングもまだまだだなあと思っているので、また折を見てフリートークレッスン始めようかなと思います。


リスニング、スピーキングに注目した勉強法でした。
中国語で何をしたいかによって勉強法は変わってくると思います。
読み書きよりも、実際にしゃべりたい人は、このステップかなと思います。

今日はここまで。

コメントを投稿

0 コメント